ゲームもいろんな法律がかかわってきます。
昨今では基本無料なソーシャルゲームみたいな数年前にはなかった形態のゲームも増え法律がついていけていない感じのものもあり、予期しない法律に引っかかることもあります。
というわけで、私が知っている範囲でゲームにまつわる法律をいくらか紹介します。
ただし、私は法律の専門家ではないので、内容の保証はできません。実際のところは法律の専門家にちゃんと確認してください。
特定商取引法
この法律はお金を払って商品やサービスをやり取りする際に関わってくるものです。
昔のパッケージを売るゲームではユーザーと直接商品のやり取りすることはなく、あまり関わりはありませんでしたが、アイテム課金等直接やり取りを行うようになった為意識する必要が出てきました。
ゲームでは主に以下のものが関係してきます
通信販売
通信販売では以下の表示が必要です。
- 値段
- 支払方法と時期
- 商品やサービスの提供時期
- 売買契約の解除に関する説明
- その他必要があれば
誇大広告
そのままです。誇大広告をしてはいけません。
未許諾のメール広告
メールを利用した広告は必ずユーザーの許可を受けて行わなければいけません。
景品表示法
この法律は商品の提示の仕方が適切かを定めるものです。
嘘の表示や誇大表示、いたずらに射幸心をあおるようなものを禁止しています。
二重価格
これは本来の価格と値引き後の価格を同時に表示して、今ならお得ですよというのを宣伝するよくやられる手法です。
景品表示法ではこの二重価格にルールを設けています。
- 値引き前の価格が適正である
- 値引き前の価格に販売実績がある
- 不良品等での値引きの場合はその表示を行う
- 購入に条件が必要な場合ははっきりと明示する
といった感じです。
本来の価格で販売しているのにも関わらず、それよりも高い値段を横に添えて値引きしたんですよーと言い張るのはダメというのが基本です。
こういう実際は値引きしていないにも関わらず、しているように見せるのは有利誤認と呼ばれます。
打消し表示の明示
お得なサービス等を提供する際の例外であったり但し書きであったりはユーザーが労せず見つけられるように明示しないといけません。
不当な表示
例えばガチャにおいて、本来出現しないアイテムをさも確率で出現するような表示はこの法律に引っかかります。
景品の価値
いわゆるおまけは景品と呼ばれていて価値の上限があります。
例えば、ソーシャルゲームで仮想通貨購入時におまけで+何個みたいな場合のこの個数に上限が決められています。
このケースのおまけは総付景品にあたり、購入金額の20%以下の価値に抑えなければいけません。
絵合わせ
2012年頃コンプガチャという名称のサービスで問題になりました。
これは、「有料」で「ランダム」に手に入るアイテムを「2種類以上」特定の組み合わせでそろえることで何か良いことがある。というサービスです。
また、「有料」で「ランダム」に手に入るアイテムを「一定数集めて」何か特典がある場合は、ガチャの中身が明示されていなければいけません。
そのほか、「有料」で「ランダム」に手に入るアイテムのうち「同じもの」を「複数」集めて何か特典がある場合でもガチャの中身を明示しなければいけません。
電気通信事業法
これはネット通信を利用して特定のサービスを提供した場合にかかわる法律です。
基本的には関係ないのですが、ひょんなことからこの法律に引っかかることがあります。
この法律が定める、電気通信事業を行う場合は政府に届け出を行う必要があります。
原文はすごいわかりにくいですがこうなっています。
電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供すること
ゲームで何がこの電気通信事業になり得るかと言うと、プライベートチャットやメールシステムです。
不特定多数が見れないネットを介したやり取りがこの電気通信事業に触れる場合があるようです。
作成中のゲームでチャットや掲示板、メールといったシステムを組み込む予定のある方は一度これに触れないか確認しておいた方がいいかもしれません。
それに付随して「青少年インターネット環境整備法」、「出会い系サイト規制法」みたいなのも気にしたほうが良いと思います。
資金決済法
ソーシャルゲームでよくある事前に仮想通貨となるアイテムを購入して、それを利用してガチャを回したり、アイテムと交換したり…といったシステムはこの法律で定める「自家型前払式支払手段」にあたる場合があります。
これに相当する場合、約款や利用条件、提供者の詳細等の明示が必要であったり、政府に対して供託金を支払う義務を負ったり、政府による監査の対象になったりします。
個人でこの制限を受けるのはかなり厳しいので、個人でゲーム作る際はこれに当たらないように十分注意すべきだと思います。
この仮想通貨はもしかしたら「犯罪収益移転防止法」、いわゆるマネーロンダリングの防止の法律に触れる可能性もあるかもしれません。
この法律はゲームに追いつておらず、今後別の法律の適用や改変などが十分あり得るようです。
暗号規制
法律とは少し違いますが、諸外国では一部暗号規制というものが存在します。
これはその国で暗号機能を有する何かを販売する場合に、その国の法律に則ってなんらかの対応を行わなければいけません。
例えばセーブデータを暗号化して保存してる…とかだとこれに注意する必要が出てきます。
対応自体は国によって違うのですが、iOSやAndroid等手軽に外国でアプリを販売することが出来るようになった為注意していなければこれに引っかかることがあります。
日本オンラインゲーム協会によるガイドライン
これも法律ではありません。一般社団法人 日本オンラインゲーム協会というところが定めたガイドラインで法的な拘束力は無く、あくまで自主規制に当たります。
このガイドラインではゲーム会社がコンテンツを提供するにあたって消費者に不利になりすぎないような規制や取り組みを行う旨がかかれています。例えばガチャを提供するのであればその確率を明示するといったものです。
この協会の会員になっている会社が出すゲームはこのガイドラインを遵守していると期待できます。
ただし、すべてのスマートフォン向けを含むオンラインゲームを制作している会社がここの会員というわけではない上に、この協会に対して一般の消費者が問い合わせする事は出来ません。